台湾、馬祖列島は、軍事的に重要な場所に位置しているとされ、島内に軍事施設が数あり、軍人の駐在も多いです。
中国本土まで一番距離の短いところで約9km。
本土との対立関係が強かった頃は最前線の島とされ、緊張感も漂っていましたが1987年に台湾戒厳令が解かれ、5年後の1992年に馬祖でも戒厳令が解かれると、軍事施設が一般に開放されて今では観光地となっています。
現在も軍人駐在は多く、現役の軍施設は立入・撮影禁止ですが、すでに使われていない施設は見学可で、観光施設として整備された場所も多いです。
現役の軍施設はもちろん入場不可で、入口に軍人さんが立っていることが多く、気づかずにカメラを向けてしまったら「NG(撮らないで)」のジェスチャーを頂きました。
ちなみに、軍人さん、怖いかな?と思っていたのですが、見学施設の当番をしている方などもいて、親切でいい人ばかりでした。
島内は軍をモチーフにしたカラー・模様のものが島内いたるところにあり、お土産も軍を意識したようなデザインのものが多いです。
日本でも、小笠原諸島や南西諸島などで、太平洋戦争の戦跡(砲台跡や大砲)を見たことはありましたが、どこも朽ちていて、それはもちろん時間の経過を感じさせる遺跡なのですが、
馬祖では、、自由に見学できる軍事関連の施設としては状態がよく、かなりリアリティ(現役感)のあるものばかりでした。
北竿
北竿と南竿、どちらも現在使われておらず、見学可能な軍事施設は多数ありますが、南竿の方が観光地として整備されていました。北竿は2023年7月時点で、(観光地として営業していたのに)閉業して朽ちていたり、改装中(工事中)の場所も多かったです。
●北海坑道(北竿)
北竿、南竿両島に「北海坑道」という場所があります。南竿では名物観光地となっているのに対し、北竿のものは閉業していました。北竿の北海坑道は少し分かりにくいところにあって、Google Mapを片手に、ここを進んでいいのかな?という道の先に行きつくと、それっぽい施設を見つけたのですが、過去に観光施設だった形跡はあるのですが、既に閉業していて、坑道の中を見学することはできませんでした。
軍事船舶を隠すための坑道で、南竿の北海坑道は井の字型なのですが、北竿はまっすぐになっていて、約550mの直線型。2015年頃には訪れていた方の記録を見つけましたが、いつか再開されることはあるのか?その時はぜひリベンジしてみたい。
入口にあった「還我河山」。(故郷の河と山をかえせという意味。島内、この様な四字熟語のスローガンが多数あります。)
この写真の右下のトンネルの入口が坑道入口。
隣接の施設も、現在は廃墟のようになっていました。2015年頃の記録は訪れた方のブログで拝見しましたが、いつまで営業していたのでしょう。
●北竿の南端の施設
北竿の一番南の橋、向かい側に南竿が見える場所にあった施設。地図の先端の左側の部分です。
帰りに右側の蛤蜊島にも立ち寄りました。
地図には記載されておらず、GoogleMapにもここが何だかは出てこなかったのですが、南の端まで行ってみようとバイクを走らせたらたどり着いた場所に階段があり、降りてみました。
現在は使用されていない施設。草が生えてて若干のラピュタ感。向こう岸に見えるのは南竿。
北竿・南竿ともに、大通り以外の道路はこんな感じでした。
北竿の南端にある蛤蜊島。向こう岸に眺めるだけで、渡ることはできません。
蛤蜊島方面からの帰り道、途中に階段があったので下ってみたら、進んだ先に謎の生き物が。
しかも直立して何かを食べている…。近づいてみると野生のヤギでした。
ヤギが去っていった方向に出てみると野生のヤギの群れがいました。「三匹のやぎのがらがらどん」の世界みたいでした。
●短坡、短坡山観景台
空港からほど近い場所にある短坡。見学可能な元軍事施設と展望台がありました。
展望台は時間に関係なく訪れることができますが、施設内は8:00〜11:00/14:00〜17:00(冬季は8:30〜11:00、14:00〜16: 30)と開放時間が決まっています。施設に入るには身分証が必要、という情報もあったのですが、わたしが訪れた時は特に求められず、見学は無料でした。
四文字のスローガン。「同島一命」。島民一丸となって、最後まで戦う、という意味だそうです。
中央付近に見えるのが北竿のメインストリート、右手に見えるのが空港と滑走路。北竿の街が一望できるスポット。
短波に、見学可能な旧軍事施設が。9時~16時までが開館時間のようで、軍人さんが受付をやっていて、15時54分くらいに到着したら、「16時まで」と声をかけられたので、「すぐに出てきますので…!」と伝えて入れていただきました。20歳前後くらいの若そうな軍人さんで、でもとても親切な方でした。ちなみにわたしが出てきたらすぐに施錠をして帰っていきました。
火気厳禁のようですが、これはレプリカではなく本物なのでしょうか?あぶないあぶない。本物の弾薬庫ってこんな感じに積まれているのですかね?
砲台としては随分色が目立つ気がしますが…後から観光用に塗ったのでしょうか。
既に弾は撃てない仕様ですが、操縦席に乗ることができます。台湾本土から観光でやって来た人たちでしょうか、グループの子どもたちがこれに乗って、何かを撃ちまくる風の遊びをしていました。随分本格的すぎる「ごっこ」遊び。笑
1公斤=1㎏、1公尺=1m。
短波展望台から、北竿の街と空港が良く見えました。丁度飛行機の離陸のタイミングだったので、他にも見学している人が何人かいました。
●東端の旧軍施設
↑この地図の06聚點民宿と書いてある宿の先に進んだ突き当りにあった旧要塞です。ちなみに、06聚點民宿という宿は外観が迷彩柄の宿泊施設で、街からも外れたところにあるため、最初見た時は軍宿舎かとおもったのですが、普通の民宿のようです。ちなみに、南竿では、1つだけものすごい立派な建物があり、離島の中にどうしてここだけ都市部のような大きなビルが?というもので、それが軍の宿舎のようです。
Google Mapには表記がなかったので、ここがなんという名称なのかは分かりませんでしたが、なかなか広い施設でした。
大砲。やはり日本各地に残る戦跡よりもずっとリアルです。
手前に見える小さな島は無名島のようです。もちろん無人島。奥に見えるのが大坵島。鹿がたくさんいるようで、定期船はありませんが、ツアーなどで行くことができます。
この東端の施設への往復の途中に、通行止めのエリアがあり、その先に現在使用されていない戦車が複数台停車(放置)されていたようなので、通行止めでなければ見学してみたかったです。
後述の南竿に比べて、北竿はそもそも閉鎖している、もしくは、現在工事中が多かった印象なので機会があればリベンジしてみたいとは思います。
●戦争和平記念館
説明によると、全台湾で初めての、戦争と平和をテーマにした記念館だそうで、2010年オープン。
営業時間は08:30-12:30 /13:30-17:00
休館日:水曜日
8時30分開館とのことで、朝一番に訪れてみました。
が、なんと…、工事中で閉館していました…!なお、これは2023年7月時点ですので、工事が終了したら、いつかまたリベンジしたいなと思います。
馬祖、島内はあちらこちらに軍をモチーフにしたものがありますが、公園のポールも、ミサイル仕様。(再利用?)
●大膽據點
戦争和平記念公園主題館の近くにある級軍事施設。大膽據點は開館時間などなく、自由観覧でした。
戦争和平記念公園と大膽據點を先に進んだところにある螺蚌山自然歩道。絶景だったので、ここまで来たら、足を延ばしてみるのをおすすめします。戦争和平記念公園から往復で1時間みればゆっくり楽しめると思います。
ただ、少し足場が悪いところが何ヵ所かあるので、ご注意を。サンダルでは難しと思いますので、歩きやすい運動靴を履いていて、山歩きなどに慣れている人向けです。
螺蚌山自然歩道についての記事はこちらからも
南竿
北竿より、少しだけ面積の広い南竿。人口は南竿のほうが3倍、空港も港も近代的で、馬祖列島唯一のスターバックスがあったり、コンビニの数、土産屋、観光施設の数も南竿の方が多いです。
また、南竿には、この規模の離島では見かけることのない大きなビル(高層マンション?)があって、この建物が何なのか調べたけど分からず。軍人の住居(寮)かな?に落ち着きました。
●鐵堡
南竿の南にある鐵堡。小さな島のような地形を利用した旧要塞。無料開放されていて、自由に見学できる。先端まで行くと広く海が見渡せるのと、振り返った浜の風景がとても美しいのでおすすめです。南竿の北海坑道、津沙集落からは近いところにありますが、港や空港からは遠いので、移動にバイクなどを使えないときはバスなど、念入りに調べる必要がありそうです。
北竿の芹壁集落とはまた違った異国感があって、欧州的というかミニアマルフィというか、美しい風景でした。
鐵堡の中はかなり広い。寝泊まりする部屋、何かの倉庫など、部屋もいくつもありました。
この門の左側には現役の軍施設と見張りの軍人がいらっしゃいました。
●北海坑道
南竿の南端にある北海坑道。前述した北竿の北海坑道は現在閉鎖中ですが、南竿の北海坑道は営業中。
かつては軍事船舶を隠すためだった北海坑道。100隻以上が停泊できたとか。
坑道は、井の字型になっていて、全長700m。
1689年から1971年に約820日かけて、軍人によってスコップなどの道具でほとんど手作業で掘られたそうです。
2000年から一般公開されていて、
歩くと30分程度で回れるそうですが、船でのツアーがあり、人気のようです。
昼と夜のツアーがあり、夜のツアーは馬祖地域で特有の暗闇で青く光る夜光虫と貝虫、「藍眼涙(青の涙)」が見られるので予約をおすすめします。わたしは当日予約で行きました。電話が難しい人は、宿の方に頼んで電話で予約をしてもらうのがいいかもしれません。
手前にインフォメーションセンターがあり、お土産なども購入することができます。(デザインのいいお土産が多かったです。安く手に入れるなら、南竿の港近くにあるお土産屋さんのほうがおすすめ)
中央には坑道を掘る軍人たち。両側に大砲。軍事関連物を全面に押し出して、カジュアルに展示している馬祖がとてもいいです。お土産なども、麺線のパッケージが軍人が麺をすすっているデザインだったり、チョコレートのパッケージが迷彩柄だったり。緊張感があった時代もあるそうですが、どこに行っても、軍事関連施設や設備全面の割に島内穏やかで不思議な感じでした。
大砲の奥にあるチェーンポールもミサイル型。笑
この船で坑道の中を1周します。
昼間は8:00~17:00、夏季のみ、要予約で夜間19:00~21:00。
昼間は150元、夜間は300元/1人(=2023年時点で800円/1500円くらい)
「藍眼涙(青の涙)」を見るためにオールで水面を刺激するので若干水が飛びます。かつ、肉眼でやっと認識できるか、というかんじで、写真に青い光を収めるのはかなり難しと思います。
●媽祖巨神像
媽祖巨神像は365個の花崗岩で作られており、これは「365日、日日平安でありますように」という願いが込められている馬祖南竿の観音様。
2008年完成。高さ28.8m。かなり迫力がありました。
媽祖巨神像がある展望デッキ、こちらは軍事施設ではないのですが、展望デッキから軍用船が見下ろせました。
●八八坑道
南竿空港から少しのところにある八八坑道。軍事体制時代に、戦車や弾薬、武器を隠すために掘られた全長210mのトンネル。1974年に完成し、当時、蔣介石の88歳を記念して八八坑道という名前がつけられたそう。
正面は海からの敵を迎え撃つことができて、背後はかつて南竿軍事飛行場(現在は空港)に通じていたそう。
1992年、軍事管制終了後は馬祖酒廠の高粱(コーリャン)酒の貯蔵施設として利用されていて、トンネル内も無料で見学可。
地下道内は夏涼しく、冬暖かいため、酒壺の保管に適しているようです。
馬祖の高粱酒は蒸留と発酵を各2回繰り返し、「八八坑道」で貯蔵される。ここで5年以上熟成されたものが「陳年高粱酒」となって市場に出回ります。
陳年老酒。25年以上のものをいい、陳年老酒はなかなか島外に出回らないので、自分用に買って帰るなら、少し値が張りますが、1つは陳年老酒を手に入れておきたいところ。また、「馬祖15年陳年高梁酒」はSFWSCでダブルゴールドに選ばれ、「馬祖10年陳年高梁酒」と「58度馬祖高梁酒」は金賞に選ばれたとのことで、せっかくなら現地で手に入れたいところです。
●雲台山
雲台山は標高248メートルで、南竿で一番高い山です。(バイクなどがあれば、あっという間に頂上にたどり着いてしまいます)。軍事官制時代に、馬祖の軍事戦略などのために作られた施設がありますが、解除後は、館内の資料を点検・移動し、2010年から一般開放しているそうです。
わたしは、夕方に訪れてしまったため、すでに閉館時間後で館内には入れずでしたが、馬祖最高峰とあって、見晴らしは素晴らしかったです。
●空港
南竿の空港。一般とは別に、軍人専用のチェックインカウンターがありました。帰りの飛行機にも軍人さんが同乗していて、さすが馬祖だなと思いながらの帰路になりました。
●お土産(一部)
軍をモチーフにした馬祖列島のお土産。
金額は忘れてしまいましたが、確か左が、100元(=450円/2023年)、右が300元(=1350円)程だった記憶です
パッケージデザインも麺をすする軍人。なんだかかわいいです。値段は忘れましたが、1食400円とかだったような?
軍人に扮した猫のデザイン。こんなにカジュアルに軍をデザイン化しているのがすごい。
お土産配布用のミニボトルサイズ。180元~200元程度(=800~1100円/2023年)。