新潟県の越後妻有地域、十日町市・津南町で3年に一度開催されている、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ。
東京23区よりも広い面積約760㎢のエリアの約200の集落…野山や渓谷、棚田など美しい自然や農村の原風景の中に、会期中の約2~3ヶ月間、300を超えるアート作品が展示される大規模な芸術祭です。
作品の一部は、会期終了後も通年にわたり見学でき、いつ訪れても地域に点在するアート作品に触れることが可能です。
この記事で紹介するのは、大地の芸術祭の開催中に十日町エリアで作品を巡っていた時に見つけた、秘境の駅、足滝駅についてです。
わたし自身が群馬県の山間部出身なので、無人駅や手動で開ける電車のドア、1時間に1本のダイヤなどには慣れていたのですが、この足滝駅については、「え、何故こんなところに駅を作った!?」「この駅から電車に乗る人は果たして存在するのだろうか?」といろいろ衝撃を受けました。その時は、芸術祭を巡るというスケジュールがあったので、驚いた気持ちをそのまま胸に抱えて去り、芸術祭終了後に改めて、電車に乗って足滝駅を訪れたその時の話です。
当時住んでいた東京・上野駅から足滝駅までは、
上野(新幹線)→越後湯沢(JR上越線)→六日町(ほくほく線)→十日町(JR飯山線)→足滝
というアクセスでした。
※なお、その後北陸新幹線が開通し、現在では、
上野(新幹線)→飯山(JR飯山線)→足滝
というルートが可能になりました。
電車を何本も乗り継いでいく方が、はるばる来た感があってよかったのですが、今は北陸新幹線に乗れば手っ取り早く現地に到着できそうです。(所要時間はだいたい同じくらいです)
ほくほく線は南魚沼市の六日町駅と上越市の犀潟駅(さいがたえき)を結ぶ私鉄。
沿線には、1日の平均乗降者数は10人以下(沿線で最も少ない)という美佐島駅(駅舎は地上、ホームは地下、トンネル内にあり、降車後、2分以内にホームを出る必要がある)や、
芸術祭の舞台で農舞台フィールドミュージアムがあるまつだい駅などがあります。
六日町駅から十日町駅の間を乗車しました。
飯山線は長野県長野市の豊野駅から新潟県長岡市の越後川口駅を結ぶJR東日本の路線。この沿線に今回の目的の足滝駅があります。31駅あって、その多くが無人駅、1日の乗降客も少ないです。
沿線には、越後水沢駅など、大地の芸術祭の作品にもなっている駅舎も。
山間部の谷沿いが大部分のため、夏は大雨の土砂崩れ、冬は大雪などで運休することも多いです。
過去には廃線リストにも上がったことがあるそうですが、様々な理由から免れているそうです。
十日町駅から飯山線に乗車。足滝駅へ向かいます。
車両は二両のみ。
乗客は少なく、わたしの他数名程度。
わたしが駅に着くたびに、車窓から写真を撮っているので、心なしか車掌さんが電車の走りだしをゆっくりとしたスピードにしてくれているように感じました。
越後水沢駅は大地の芸術祭の作品のひとつ。三角屋根のかわいい駅舎ですが、無人駅1日の乗降客数は少なく、芸術祭期間中は見学のために訪れる人のほうが多そうです。
足滝駅に到着。降りるのはわたしだけでした。
単線。数時間に1本なので、電車がすれ違う心配はありません。
去っていく電車。お迎えは2時間後くらいです。
山の中にポツンとホーム。駅舎はなく、山道から線路を渡りホームについて待合所があるという具合です。切符売り場も改札もありません。ふと、ここから毎日通勤したい気持ちに駆られてみたり。
そもそもこの駅から乗車する人はいるのでしょうか?
誰が設置したのか、待合室にノートがありました。切符がなくてもホームまで来ることができるので、地元の方が電車に乗るため、というよりはこの駅が珍しくて訪れる人が多そうです。(多い、と言っても月に何人いるか…)
自動販売機ももちろんありません。芸術祭の期間中、夏の時期に歩いてここまで来た方でしょうか。
前情報なしに初めてこの駅にたどり着いた人は驚きがすごそうです。(わたしもすごく驚きました)
ホームから一般道までは山道が続きます。
乗ってきた方向と逆方向の電車が去っていきました。登りも次の電車は2時間後になります。
時間が許すことなら、1週間朝から晩までここにいて、乗降する人がいるのかを確認したいです。
足滝駅から一般道へと続く山道。
踏切はなく、線路を渡る形になります。例え2時間に1本、時間によってはそれ以上電車が来なくとも念には念を。
駅のすぐ近くに民家もないので、本当にどういう人がこの駅を利用するんだろうと気になりました。
わたしはこの後、約2時間駅で本を読みながら帰りの電車を待ちました。
自動販売機、お手洗いなどもありませんので、訪れる際はお気を付けください。
機会があればまた、飯山線に乗って訪れたいです。