この記事では、台湾の離島・馬祖列島について、行き方や見どころ、旅のコツを紹介します。
2023年7月と11月に、台湾の離島、馬祖列島を旅しました。
台湾の離島と言っても、馬祖の位置的にはほぼ大陸の中国。
大陸の中国福建省からの方が近く(最短距離では約10km)、「え?これが台湾の離島?」と地図を見て驚いてしまうようなところにあります。
馬祖島(ばそとう/現地名をMatsu マーツータオ)は南竿、北竿、東莒、西莒、東引島、亮島、高登、大坵、小坵をはじめとする36の島々で構成されていて、
そのうち、人(民間人)が住む有人離島は、
南竿(ナンガン)、北竿(ベイガン)、東引島(とういんとう/トンインタオ)、東莒(とうきょ/ドンジュ)、西莒(せいきょ/Xiju ※読み不明)、の5島。
東莒・西莒は2つあわせて莒光(きょこう/ジューグワン)とも呼ばれます。
元々は無人島でしたが、元の時代(1200年代)に漁民の補給地になり、明の時代に人が住むようになったそうです。
空港があるのは南竿、北竿の2島。
台湾本土からの船便があるのは南竿、東引島の2島。
各島間は船での移動が基本となります。(例外にヘリコプターあり)
飛行機なら台北 松山空港から約50分、台中空港から約65分。
台湾・基隆港から船なら8~10時間。
(桃園国際空港からは松山空港、基隆港、ともに距離があるので、バスや電車などで向かいます。)
飛行機は南竿へ行く場合も、北竿へ行く場合も片道(2023年のレート)、約10,000円(≒約2000元)。
南竿ー北竿間は船で約12分、片道700~800円(≒160元)、
今回わたしは、松山空港から飛行機で北竿へ、北竿の港から船で南竿、南竿から飛行機で松山空港へ戻る、というルートで2島を訪れました。
松山空港から馬祖までの飛行機は、小型機で座席数も少ないせいか予約が取りにくく、
行きは抑えられても帰りが取れない、その逆もしかり、予定の日程内の便を予約するのにかなり何パターンもの組み合わせをチャレンジしました。
それでも希望通りとはいかず、最終日は予定より早く台北に戻り台北を散策してから帰国という行程になりました。
宿の予約はagodaから。
ネット対応している宿が多いので、エクスペディアでも、ブッキングドットコムでも、お使いのサービスから予約できると思います。
宿の相場はグレードにもよりますが1人1泊朝食付で7,000円~15,000円程度。
日本では3連休だったことを考えると、離島だからといって特段高い印象はないです。
ちなみに、予約の際に、北竿のホテルでは事前のデポジットとしての入金(送金)を求められました。
台湾離島ではよくあることらしく、送金方法を調べたのですが、海外送金は手数料の方が振込額より高くなってしまうため、ウェスタンユニオンなどを使用することが可能かメッセージでやり取りしていたところ、
(そもそも台湾語が分からず、送られてくる内容もこちらから送る内容も翻訳サイトに頼ってのやり取りだったため、うまくお互いの意思を伝えることができず)、
最終的には、事前振り込みは要らないので、チェックインの際に全額現金で払ってね、ということに落ち着きました。
空港・港から宿までの送迎は宿代に含まれていることが多く、メッセージで到着時刻を伝え、送迎も手配します。
ちなみに、現地の言葉が分からず、翻訳サイトで中国語に訳してメッセージのやり取りをしていたのですが、
大陸の方の中国の言葉を選択していたらしく、現地に着くまで中国人だと思われていたようです。
「空港に着いたら電話をかけて」と言われましたが、当然聞き取れない・話せない、なので困ってしまい、空港のサービスカウンターの方に、スマホ画面を見せて「宿の人に電話をしてくれと言われている」と相談したら、代わりに電話をかけてくれて、無事に送迎の方にお会いすることができました。
また、馬祖での交通手段はバイク(原付)。
北竿は面積9.3 km²、人口2000人程度
南竿は面積10.64 km²、人口7000人程度
北竿は日本の粟島と同じくらいの面積、南竿は日本の北大東島と同じくらいの面積ですが、粟島・北大東島と比べて北竿・南竿とも、人口も店や施設も多いです。
アップダウンもあるため、効率よく島内を巡るには、原付を借りて移動するのが便利だと思います。
ほとんどの宿で借りることができて、24時間2000~2500円程度(≒500元)。
宿の予約の際にメッセージで原付の希望も伝えておくといいでしょう。
ちなみに、現地の言葉では「机車」と送られてきて、これを翻訳すると「機関車」になるので、すごい乗り物を貸してくれるものだ、と驚きました。笑
台湾での運転には、日本の運転免許証の中国語翻訳文を求められる可能性もあるので、心配な人は念のためJAFなどで発行してもらうといいと思います。費用は4000円くらい、コンビニから発行できます。
出発から~着陸まで
台湾へは桃園国際空港を利用していたので、松山空港へ行ったのは初めて。MRTから接続できてコンパクトな空港でした。
羽田から松山空港への便もあるらしく、便数は圧倒的に成田-桃園間の方が多いですが、羽田-松山便をうまく利用できればかなり便利そう。
松山空港からは金門島や澎湖島、台東、台中、台南、高雄など離島や台湾の他の都市への便が出ているので、効率よく台湾内の移動をする方にはお馴染みかもしれません。
各航空会社のカウンター。馬祖島へは、立榮航空(UNI AIR)が就航。場所を探していたら、案内人の方が話しかけてくれたので、航空券を見せて馬祖に行きたいと言ったら、別の場所に案内され慌てて戻ってくる、ということもありました。
とても親切な方でしたが、スムーズな意思疎通は難しいものですね。
ちなみに、カウンターのスタッフさんは日本語ペラペラ。
50分のフライトですが、ドリンクのサービスがありました。
一度北竿・南竿を通り過ぎ、大きく旋回してからの着陸でした。
北竿
北竿は面積9.3 km²、人口2000人程度。
今回の旅で先に訪れたのは北竿。空港から宿泊予定の芹壁は少し離れていたので、宿に送迎をお願いしてありました。
空港に到着したら電話して、と言われていたのですが、中国語で電話ができず、北竿空港のスタッフに代わりに電話をかけてもらいました。
島内の移動手段、原付は宿で貸してくれました。エンジンをかけるのに少しコツが要る古めの原付でしたが、2日間不便なく乗りこなせました。
芹壁集落(芹壁村)は、伝統的な石造りの建物の残る集落で、伝統的な家屋を利用したカフェや宿なども営業しています。
観光スポットにもなっていて、展望台から撮影をしたり、集落内を散策に来る観光客が多くいました。
日本の離島でも、人口の少ない島では民宿などに泊まることが多いですが、どんなに小さな離島でもお風呂やトイレ設備が家庭レベルで整っている日本と比べて、随分簡素な印象を受けましたが、丁寧に掃除はしてあって、特に問題はなかったです。むしろ伝統的な家屋に泊まれた感動の方が大きかったです。
1泊朝食付でひとり7000~8000円程度。朝食はサンド、ゆで卵、豆乳、キュウリ、スイカ、しかもキュウリとスイカは無限お代わり(笑)と、若干お腹がたぷたぷでしたが、この日とても暑くて、汗だくで遊歩道の散策に行ったので水分をしっかりとっておいてよかった、と後に納得しました。
馬祖のこのサンドは、他でも見かけたので馬祖では定番の模様。リンゴが挟んであってとても美味しかった。
馬祖は、立地としてもそうですが、軍事的に重要な島でもあったため、島内各所に軍事施設があり、駐在する軍人人口も多いです。島内でよく軍人を見かけますし、(軍人人口も南竿の方が多い)、見学可能な軍事施設が多数あります。
日本でも小笠原諸島などの離島では、第二次大戦の際の砲台跡や朽ちた大砲を見ることがありますが、ここまで本格的なものは初めて。なかなか迫力がありました。
現在では使用されていないようですが、操縦席に座って動かすことができるので、あとからやって来た子供たちが操縦席に座り、撃ちまくるパフォーマンスをしていた時は、少しドキドキしました。
北竿の東端にある螺蚌山自然歩道。戦争和平紀念公園主題館の先の遊歩道を進んだ先にあります。往復で40分くらいは歩きますが、とても景色が良かったので、ぜひ散策をおすすめしたいです。
ちなみに、戦争和平紀念公園主題館はわたしが訪れた2023年7月時点では改装工事中で閉鎖していました。
南竿に比べて街が小さい北竿のメインストリート。飲食店や土産屋、セブンイレブンが並びます。夕暮れ時はとてもいい雰囲気でした。
馬祖は海鮮が名物。特にムール貝は連日食べました。
北竿にセブンイレブンは3つ。一番大きなのがこのメインストリートの店舗で、あとは台湾海洋大学馬祖校区の前にある、馬祖唯一の石造りのセブンイレブン、芹壁集落にある自動販売機式のセブンイレブン。
外が暑いので、セブンイレブンの店内は常に地元の人で賑わっていて、イートインスペースで食事をする人、多数。
芹壁集落は夕景から夜景もいい風景だったのでぜひ展望からご覧ください。なお、芹壁集落からの対岸には大陸の中国福建省の灯りが良く見えて、とても明るかったです。
北竿から南竿へ
北竿から南竿へは船で12分。1時間おきに船が運航しているので、南北間は移動がしやすいです。
港では乗船券購入時にパスポート提示が求められます。運賃は120元(≒500円)
南竿
南竿は面積10.64 km²、人口7000人程度。
南竿でも宿に送迎をお願いしましたが、港をウロウロしていたら運転手さんに見つけて頂けました。
島内の移動手段の原付は宿泊した宿でレンタルしました。南竿で借りた原付は比較的新しいものでした。
港や空港は南竿の方が断然大きいです。南竿の港の近くにある土産屋が一番リーズナブルにお土産を買える場所でした。
細かい差ですけど、他の店舗で見るのより5~30元くらい違います。
南竿でお土産を買うなら、港の土産屋、北海坑道の入口近くにあるビジターセンターの土産屋、空港の土産屋など、が比較的品揃えが良くお勧めです。
価格的には、安い方から、港>ビジターセンター≧空港、
品ぞろえ的には、港≧ビジターセンター>>空港
といったところでしょうか。
港の土産屋とビジターセンターの土産屋、それぞれ片方にしかないお土産などもあったので、両方覗いてみてください。
馬祖で作られる高粱酒。お土産の小瓶などもあります。年代物となる老酒は馬祖島以外ではなかなか購入できないそうなので、お土産でぜひチェックしてみてください。
南竿で宿泊したのは、日光春和という宿。北海坑道の近くにあります。空港と港からは離れているので、送迎をお願いして、到着後は宿でレンタルできる原付で移動するのがいいと思います。1泊朝食付きで15000円くらいでした。
食堂兼ラウンジ。海が見えて眺望は最高です。有名な建築家が手掛けたのか、とてもスタイリッシュな館内でした。
夜はカフェバー営業をしていて、アルコール類の提供もありました。
部屋からも海が見えて、設備も申し分なかったです。確か、アメニティは、歯ブラシだけSDGsの観点から、各自(使い捨てにせず)持ってきてください、というものだったはず。
南竿の南側に突き出した堡塁。戦時中に見張りとして使用された軍の施設。突き出していて眺望がとても良く、施設の中も広い。
南竿の北海坑道。長さ700mほどの長いトンネルがロの字になっていて、中を1周することができます。もともとは軍用船を停泊させるためのトンネルでしたが、改修を経て、2000年から公開されています。夏季は夜になると、馬祖列島の沿岸で見られる藍眼涙をトンネル内で見ることができるため、夜のツアーは予約をおすすめします。藍眼涙は撮影するのは難しく、真っ暗な写真になってしまうことが多いです。
北海坑道という名前のトンネルは北竿にもありますが、見学施設としては閉鎖されていました。
空港に近いところにある八八坑道。もともとは弾薬などを保管する軍の地下道でしたが、夏は涼しく冬は暖かいため、酒壺の保存に良いとのことで、今はたくさんの酒壺が保管されています。
全長約200m。こちらで保管されているのは高粱酒「八八坑道」。
特に年代物の老酒は、台湾本土でもなかなか手に入らないそうなので、ぜひ馬祖を訪れた時には記念にどうぞ。
酒のタンクには全てナンバリングがしてありました。
役所やメインストリート、市場などいろいろなものがありました。北竿より街が大きめです。
馬祖列島唯一のスターバックス。人口1万人を切る離島にスタバがあるのはすごい。
北竿はセブンイレブンのみでしたが、南竿にはセブンイレブンに加え、ファミリーマートがあります。
この場所では2店が隣り合わせていました。日本で人口1万人を切る離島ではコンビニはまずないので、馬祖列島すごいなと思います。
高さ28mなので、遠くにいても認識できる媽祖巨神像。媽祖(まそ)とは、実在した女性が神になったものとされています。
南竿も海鮮が中心の食事。津沙という、ミニ芹壁とも呼ばれる集落のお店で夕食を頂きました。
麻辣鍋みたいな感じで、少し辛くてとても美味しかったです。
伝統的な石造りの集落。北竿の芹壁集落に比べて規模が小さいのでミニ芹壁とも呼ばれることがあるそう。
朝、早起きして南竿の市場・介壽獅子市場へ。朝6時から昼前まで営業しているようです。宿泊した宿の朝食前に行ってきました。市場の外には、野菜を売るおばちゃんたち。
市場で朝食を食べる人たち。
1階が魚介や野菜などの生鮮、2階が飲食店。島民が朝食を食べに集っていました。朝早くから行列ができているお店もあって、朝食を食べたい場合は、少し早めに訪れるのをおすすめしておきます。
港と同じく、北竿より南竿空港の方が規模が大きいです。お土産も、港で買うよりは割高ですが、空港でも手に入ります。
ファミリーマートもありました。
一般のカウンターと軍人専用のカウンターがありました。保安検査はどちらも一緒でした。
帰りの飛行機に軍人さんが乗っていました。
北竿・南竿は馬祖列島の中では大きな島ですが、それでも面積としては、原付を借りてそれぞれ1泊2日あれば回りきることが可能だと思います。
台湾本土ともまた違った魅力があり、台湾を訪れたならぜひもう一歩、足をのばしていただきたいです。