ツキノワグマに遭遇した話

登山をしていると、時折、カモシカや鹿などに遭遇することはしばしばありますが、
一度だけ、熊に遭遇しました。
その時の話をご紹介しておきます。

群馬県みなかみ町、川場村、片品村の境にある標高2158mの武尊山、
その隣にある標高2020mの剣ヶ峰を2020年9月21日に登りました。

剣ヶ峰の標高が2020年ということもあり、2020年中に登っておこうと、
百名山にもなっている武尊山と合わせての登山でした。

武尊山には登山コースがたくさんあるのですが、
選んだのは、高手新道から川場キャンプ場(廃業)を通って行くコース。
あまりこのコースを選ぶ人はいないようで、すれ違う人もほとんどいなかったです。

参考までに
高手新道→川場キャンプ場→高手山→西峰→尊神社への分岐→武尊山山頂→剣ヶ峰
というルートです。

登山道入口(キャンプ場入口)から歩いてほどなく行くと、
廃業となったキャンプ場の脇を通ります。
このキャンプ場を過ぎたあたりで、「獣のにおい」を何度か嗅ぐことになります。
(犬のにおいに似たようなにおいです)
ここで獣のにおいを嗅いだことをきっかけに、その後、登山の道中で、
「万が一、熊が出たらどうすればいいんだっけ?」と何度か確認することとなります。
(ちなみに、朽ちたコテージなどが数棟あるので、なんだかちょっと物騒な気配もしました。)

武尊山の山頂は、別ルート(川場野営場側がメジャーなようです)から登ってきた人で賑わっていました。
山頂ですき焼きを煮て食べ、剣ヶ峰で年号と同じ高さの2020mからの景色を眺め、
来たルートを引き返し、廃業となったキャンプ場に降りてきた時に、
また、強い獣のにおいを感じました。

「やっぱりこれは熊がいるんじゃないの?」と会話をしながら歩いていると、
本当にいた!大きなツキノワグマが。
超近くに…!

息をのむ、とはこういうことをいうのでしょうか。
驚きはしたものの、
それまで何度も「熊が出たらどうするんだっけ?」なんて能天気にも確認し続けていたので、
確認したその通りに、背を向けず、ゆっくりゆっくり、そろりそろりと後ずさりしながら、
熊から見えない角を曲がるまでひたすら歩き続けました。

幸いに、熊が襲ってくることはありませんでしたが、
(もしかしてこの熊は、過去に人間に対して騒がれたことも襲ったこともないのかな?と、後に推測)
もし、熊が動いたら、動いてこちらに向かってきたら、
わたしは何かしらの体の部位か、身体機能を失うかもしれない、という覚悟(?)のようなものを感じながら
歩く数分はとても長く感じられました。

ちなみに、下山後にネットで調べてみると、
武尊山で熊に遭遇した人が意外と多く、かつ、同じくらいの場所で見かけているので、
ここに生息しているのかと思います。
さらに驚くのは、撮影に成功している猛者が複数名いること。
わたしは、とてもカメラを出して撮ろう、とは思えなかったので。

2017年くらいに撮影した方の写真を拝見すると子熊のように見えて、
うっかりかわいらしさも感じてしまうのですが、
わたしが遭遇した熊は体調が1m以上は余裕であったと思いますが、
森のくまさん、なんてかわいいものではなかったですね。



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