今年(2023年)の4月に、ホタルイカ漁船の見学に出かけ、その足で出社してきました。
ホタルイカ漁港からのエクストリーム出社。
ホタルイカと言えば富山の春の味。
わたしはホタルイカがとても好きで、飲食店のメニューにホタルイカ料理を見つけるとつい頼んでしまうのですが、ホタルイカ漁を見学できる観光漁船があることを昨年知り、これは是非とも見学したいと思っておりました。
富山でホタルイカ漁が行われるのは1年のうち春先の数ヶ月のみで、そのうち観光漁船でホタルイカ漁が見学できるのは4月~5月初旬の1ヶ月ちょっと。深夜の海で、網から引き揚げられた(定置網漁という方法です)ホタルイカが光る、というとても幻想的な光景で、富山に赴任したことのある記者さんたちからも「機会があるなら見た方がいいですよ」と勧められ、ホタルイカ好きとしてはこれは行かなくてはならない!と思い立ったものの、なかなかの人気ぶりで、昨年知った時には既に休日は予約で満員、1年後にリベンジすると決めました。
にも関わらず、予約開始日をすっかり忘れていて、今年も気がついた時には休日の空きはなく…
ちなみに、昨年の夏から群馬県高崎市に移住していて、高崎から会社のある半蔵門へ新幹線通勤をしているのですが、毎日高崎から北陸・長野新幹線(または上越新幹線)に乗っていると、ふと気づいてしまうのが、ホタルイカ漁を見学してそのまま出社をすればいいのではないか?ということ。
深夜2時に港に集合し、2時20分から乗船、早朝4時には港に戻るので、そこから始発電車に乗り会社に向かえば十分間に合いそうだということが分かり、2023年4月3日(月)にホタルイカ観光漁船の予約を取り、行って参りました。
月曜から夜更かしならぬ、月曜から早起き。早起きというか超早起き。そんな1週間の始まりを望む人はあまりいないのか、月曜の予約はすんなり取れました。ちなみに、月曜を選んだのは、前日から富山入りし、富山観光の時間も設けたかったから。
あくまでホタルイカ漁船だけに的を絞るなら、平日の仕事帰りで富山入り、ホテルで仮眠をとり2時に港へ行きホタルイカ漁船に乗船、4時に下船後、漁港でホタルイカの競りなどを見学し、5時台の電車に乗り出社という超エクストリーム出退勤もできそうです。
なお、ホタルイカ観光漁船の乗船料金は大人5,000円。
そんな訳で、土日から富山入りし、富山観光を済ませた後、
日曜夜にホタルイカ観光漁船が出港する滑川へ。
滑川へは、富山駅からあいの風とやま鉄道で向かいます。
滑川駅前、驚くほど何もなく…。
ホタルイカの看板があっただけでした。想像以上のローカル駅。それも、とてもいいなと思いました。宿泊する際は、食べるものにしろ、必要なものにしろ、何か買うならば、富山駅近辺で調達してから向かってください。
ホタルイカ漁船に乗るための集合時間は深夜2時。レンタカーを借りているならどこからでもアクセスできますが、わたしは下船後、始発での出社を控えていたので車を返す時間がなく、漁港近くのホテルから徒歩で港に行く必要がありました。
滑川駅前のスカイホテル滑川からは、徒歩約10分程度で滑川漁港に着くことが可能です。
また、スカイホテル滑川では、ホテル内の食事処でホタルイカのフルコースが食べられるということで、それも目的のひとつでした。
これでもかという程のホタルイカをあらゆる料理で頂きました。
ホタルイカ好きさんは一度、お召し上がりいただいて損はないと思います。旬になる春先にぜひ。
ホタルイカの沖漬け、ホタルイカサラダ仕立て、生ホタルイカ他三種盛り合わせ(刺身)、ホタルイカの田楽。
ホタルイカの沖漬けは、今回の富山訪問でドはまり。これだけで無限にご飯が食べられるほど好き。
生ホタルイカを食べたのは初。鮮度が難しいので富山ではないと食べられなそうです。美味しかったです。
ホタルイカの釜揚げ。しゃぶしゃぶですね。しゃぶしゃぶする際のコツは店員さんが教えてくれます。
ファンの大変多いホタルイカの天ぷら。様々なお店で食べられるので一度食べてみるといいと思います。
写真を撮り忘れたようですが、デザートの前にご飯とお味噌汁が出てきました。富山産コシヒカリ。
お腹いっぱいになりましたが、どれも美味しかったです。
さてこの後、部屋に戻り可能な限り早く寝て、深夜2時に滑川漁港へ向かうことになります。
ホテルから漁港までは徒歩10分程度なので、1時45分にはロビーを出発しようかと計画していたものの、
滑川駅前からの道が本当に何もなかったことなどを思い返すと、ひとりで深夜に港まで歩いていくのが急に不安になってきました。
仮眠後、深夜1時過ぎに起きて、少し早めにホテルのロビーへ。もしかすると、わたしと同じようにホテルから港へ歩いていく人がいるかもしれないので、さりげなく後をついていけば心細くないかも!と思いロビーで待ってみることにしました。
5分くらいすると、外国人の男女2人組がフロントにやってきて、いかにも港へ向かうというような雰囲気。
ホタルイカ漁船に行くなら一緒に港へ行っていいか尋ねると、予想はしていましたが快諾をしてくれて、3人で向かうことに。
日本のことを「ヤーパン」と言っていたこの2人組(ちなみに使用言語は英語)、どこから来たのか尋ねるとノルウェーから、とのことでした。
ノルウェーからはるばる日本にやってきて、限られた滞在中にホタルイカ観光漁船への乗船を選んだことに驚きを覚えつつ、2週間の滞在で、既に東京、横浜、白川郷、金沢、富山を巡り、このあと京都に寄って帰るとのこと。「日本はとても美しい」と言われて、どう考えても北欧の方が美しいだろ、と思いつつ、海外からはそう見えるんだな~と、なんだかとても嬉しかったです。「ノルウェーに来たことは?」と聞かれ、あいにくわたしはノルウェーを訪れたことがなく、「いつか行きたいとは思っている(本当にいつか行きたいとは思っているので)」と返しながら、片言で会話をしていく中で、「(うーん…ノルウェー、ノルウェー…)」と思いながら、咄嗟に出たのが「Haruki Murakami?」で、ノルウェーからの2人はとても好きで何冊も読んでいるとのこと。世界的文学、すごいなと改めて実感しました。
楽しく話しながら、港へ向かううち、ノルウェー人の女性の方が、ATMを利用したいのでコンビニに行きたい、と。確かファミリーマートがあったはずだ、とわたしが案内して、コンビニへ。で、この時コンビニに入って出たことで、わたしは東西南北感覚を少し勘違いしてしまったようです。コンビニを出てから、「さあ、港へ行きましょう!こっちです!」とスマホで地図を見ながら案内して、その時に男性から「あれ、こっちですか?」と訊かれたのに、「そうです、こっちです」と。
そこから5分以上歩いたところで、男性の方からやっぱり道が違うのでは、と指摘されて改めて地図を見ると、どうやら港と真逆の方に歩いてしまった模様。集合時間に間に合わないかもしれず、港までの1㎞ちょい、真っ暗な田舎道を3人で走ることに…息をゼイハアさせて港に着いて、とにかく2人に謝ると、「これも良い思い出になるから」と。ノルウェー人いい人や~(涙)。その節は本当にすみませんでした。
その後、集合場所へ行くと、スタッフから告げられたのは「波が高くて本日は欠航です」と。
ええ、ええ~!前日から富山入りして、仕事前に超絶早起きして船欠航とは、結構堪えるな、とも思いましたが、わたしは来年またリベンジしようと思えばできるので、遥々北欧からやってきたこの2人が船に乗れなかったことがとても無念で。
何とかならないものか…と思ったけれど、海の状態ばかりはどうしようもないですね。2人も「これはこれで思い出だ」と言っていました。旅はアクシデントも前向きに受け止めないと楽しくないものだ、と改めて思い知らせる瞬間でした。この2人はきっととてもいい旅をしているんだろうな。
ちなみに、港にはこの2人組の他に、カナダからの3人組が来ていましたホタルイカは欧米の方になにか響くものがあるのでしょうか。
船は出ませんでしたが、欠航地は併設のホタルイカミュージアムを臨時オープンさせ、職員の説明の元、見学できるとのこと。乗船代5,000円は船が出ない場合は聴取せず、ミュージアムの見学は無料でできる、という仕組みです。
確かに波が高かった。安全第一なので仕方がないですね。来年、絶対リベンジしよう。
この後姿の2人がノルウェーからの旅人。ホタルイカを見学中。
暗闇で光るホタルイカなども職員が説明しながら見せていただきました。
生きたホタルイカは思っていたより大きかったです。昨夜食べまくったな、と思うと複雑な見学。
ちなみに、見学用のホタルイカは、前日、または前々日に漁で獲れたものを海水で保管していて、この状態ではもう長く生きられないとのこと。
蟹が蟹を食べている…まさにカニバリズム…(違
漁船に乗れなかったので、宿に戻ってくるのが予定より早く…2時間程度の仮眠が取れました。
ホテルで、ノルウェーの2人から、明日は何時に朝食を食べるのか?と訊かれたのですが、始発電車に乗って仕事に行く、といい、部屋の前でお別れ。一緒に朝食がとれなかったのは残念ですが、facebookをしているか尋ねられ、わたしから申請を送ることに。というのも、日本に来て限られたギガの中で写真を撮ったり(スマホは日本の写真でいっぱいだそう)、いろいろなサービスをインストールして使用しているので、スマホの容量が限られ、一時的に今必要のないおおきなアプリを削除しているとのこと。ノルウェーに戻ったら、承認するね、とそこで別れました。
ちなみに、宿泊していたスカイホテル滑川の部屋は、廊下を挟んで向かいの部屋で、この廊下の壁と部屋のドアがピンク色だったのですが、このノルウェー人は「ウェスアンダーソンのようだ」と言っていました。確かに、言われてみれば『グランドブタペストホテル』というか、ウェスアンダーソンの世界というか。でも言われなければ、古い地方のビジネスホテルをウェスアンダーソンぽいとは思わなかったかも。視点の違いというのはとても面白い。
出発する時に、彼からの部屋のドアの前に、お手紙と、鞄に持ち合わせていた村上春樹氏の小説を置いておきました。日本語だったから読めないかもしれないけれど、これも何かの記念に。
facebookからメッセージが来たのは、それからしばらくしてからでしたが、旅は最高に良いものだったようです。
そしてわたしは、5時35分に宿を出発し仕事へ。
滑川駅5時47分発、富山駅6時22分発の新幹線かがやきに乗ると、8時半には東京駅についてしまうので、なんと始業時間よりも1時間も早く会社に。笑
富山県滑川市からのエクストリーム出社は余裕です。
ホタルイカ観光漁船に乗船できなかったのは残念でしたが、とても楽しい旅でした。ホタルイカ観光漁船は来年リベンジしたいと思います。
土曜、日曜のうちに富山入りし、2時に滑川のホタルイカ漁港に集合してホタルイカ漁船に乗船(なお、天候で船が出ないこともある)、4時に下船してホタルイカの競りを見学、5時47分発あいの風とやま鉄道・滑川駅を出発、富山発6時22分の新幹線かがやきに乗車すれば8時半には東京駅に着きそのまま出社は十分に可能でした。
仕事帰り即富山行きにすれば、平日どの曜日でもできそうです。
10年くらい働いていると年度初めの日すらこのような働き方ができるようになるので、新社会人のみなさんには、ぜひあまり肩ひじ張らずにのんびり働き続けてほしいですね。
なお、以下は余談ですが…。
富山入りした初日に宿泊した、富山駅前のビジネスホテル。なんてことないよくある地方のビジネスホテルで1泊6,000円とかの。清潔だけど別に新しくもない、というかちょっと古め。
そのホテルでついていた朝食、よくある、簡易和洋中的な、卵焼きにウインナー、ひじきの煮つけ、うどん、唐揚げ春巻きシウマイ、パン数種類、そしてカレーみたいなそういうバイキング朝食がついていたのですが、ホタルイカの沖漬けがありまして。宿泊客海外客ばかりでみなさん、ウインナー、唐揚げ、カレーみたいなのをせっせと食べていて誰も手を付けないんですが、白飯にのせたホタルイカの沖漬けの美味しいこと、美味しいこと。あまりに感動して、何故みんなが食べないのか謎なので、山盛りで2杯沖漬け丼を食べました。そこから白米+ホタルイカの沖漬けにハマってしまい、富山で大量におみやげに買い込み、帰宅後も延々とホタルイカ沖漬けを食べ続けました。笑