2022年11月に、五島列島の有人離島14島を旅しました。
ここでは、その中で訪れた黄島についてご紹介します。
黄島は、福江島の福江港から「おうしま」で渡ることのできる二次離島。
福江島から南東に黄島と赤島の2つの離島があるのですが、船は1日2便、福江島→赤島→黄島→赤島→福江島と往復します。
基本的に到着後すぐ折り返す船のため、日帰りするならどちらか1つの島にしか滞在できません。また、その近くには黒島という島があり、2022年の夏までは住民が1名いたのですが、ご逝去され無人島になりました。黒島への航路は2021年で廃止されたため、一般の方が行き来する手段はなく、住民の女性が福江島と行き来する際には、「生活航路」のため、これまで定期船が航行していた片道230円で海上タクシーが利用できたとのことです。
スケジュール的に黄島か赤島かどちらかしか訪れることができなかったため、この旅では黄島を訪れました。
黄島はとても興味深い島でした。
黄島は面積1.38㎢、周囲6.5㎞、人口約30名ほどの小さな島。
(なお、赤島は人口が9名/2022年時点)
数時間ほどで島中を歩けてしまいそうな規模ですが、朝8時過ぎに到着し、帰りの船が出るのは15時30分です。
福江港から各島への船が運航しています。11月の平日、休日いずれもどの航路も特に満席になることなく乗れました。
おうしまⅡは2022年4月に新就航した新しい船。前任の「おうしま」は26年と老朽化していたため引退したそうです。
料金はそれに伴い、黄島までは片道790円から850円に。(島民は島民割引あり)人口約30名の黄島ですが、児童が1名だけいて、この船で福江島の学校まで通学しているようです。
おうしまⅡの船内。船内にテレビがありあました。店員は50名ですが、この日の乗客はわたしひとりでした。
50名の定員だと、黄島の島民35名、赤島の島民9名が全員乗ることができますね。
30分程で黄島に到着。上陸後、船は福江島に戻って行きました。到着は8時10分頃、帰りの船が出るのは15時半です。
乗客がひとりだったせいか、船員さんはとても親切で、下船の時にまた迎えに来るね、と挨拶してくださいました。
比較的平坦な島ですが、中央の低山は番岳(91.5m)。東側には、長崎県で一番低い細ヶ岳(25m!)も。
集落と、小さく1周道路、西側の道路と島は小さく、数時間ですべて歩き尽くせそうです。
港で島のおばあちゃんが出迎えてくれました。
黒猫も出迎えてくれました。驚いたのが黄島の猫の多さ、特に黒猫の多さ。
黄島の集落には、窓付きの祠のようなものがいたることころにありました。どれもとても丁寧にお供えがされています。
こちらは塀についていた窓。何のための窓でしょうか?中は草木がびっしり。
2011年に廃校となった、旧黄島小中学校。黄島は江戸時代から昭和にかけて捕鯨で栄えていて、最盛期は人口も2000人近く(現在約30人)、児童生徒も200人(現在1人)いたそうです。
卒業式の看板がまだ残っていました。
黄島最高峰番岳への道。あっという間に登ってこられました。
番岳の山頂には黄島灯台がありました。黄島灯台は昭和9年に初点灯。その後32年間は常駐の職員が住んでいたそうですが、現在は無人。黄島灯台は福江島近海の漁船には大切な存在となっているそうです。
細ヶ岳へは左、右は海岸に出ます。どちらも特に迷うことはないので両方順番に行ってみるのでいいと思います。
これが、長崎県で一番低い山、細ヶ岳。標高25m。九州では3番目に低い山だそうです。
散策途中に見つけた小屋。石と棒は鍵の変わり?でもこれはどう見ても、内側から開かないようにするための手段では……
島の裏側へ向かう道を進むと、丁度港の間裏にあたるあたりに、観音様の洞窟があります。
洞窟の手前にはお地蔵さまが並んでいました。
2022年の訪問でしたが、一体一体丁寧にマスクがしてありました。
烏山哲美さんとは、黄島にお住まいだった方のようです。
観音様は溶岩トンネルの中にあるようです。
観音様のある溶岩トンネルはこの崖下にあります。狭くて急なので、手を使いながら降りました。
見上げるとかなり急なことが分かります。わたしが降りるのも結構大変で、また、登るのも結構大変だったのですが、平均年齢60歳を軽く超える黄島の島民のおじいちゃん、おばあちゃんたちはひょいひょいと登り下りするそうです。すごい!
黄島溶岩トンネルの中にある観音様。長崎県の天然記念物にも指定されている黄島溶岩トンネルは、奥行きが100以上で広い。毎年2月頃に全島民がこのトンネル内に集まり、「観音祭」というお祭りをするそうです。いつか機会があったら参加してみたい…。
簡易郵便局なのがいかにも離島らしいですが、今は閉鎖していると聞きました。銀行や農協がない離島でも、郵便局だけはあることが多いのですが、それでも人口が極端に少ない離島では郵便局がなく、船で荷物を届けているということもしばしば聞きます。
島唯一の商店、赤江商店。入り口にもたくさんの猫ちゃんたちが。猫警備隊なのか、餌を待っているのか…
雑貨や食料、お酒などが揃っています。黄島から船に乗って福江島に行くと、福江港の周りには歩ける範囲にスーパーなども揃うため、買い物などは、買い出しという形で福江島で済ませる人が多いのかと思いますが、朝8時過ぎの船で出て戻るのは15時なので、ちょっとした買い物ができるお店があるのとないのでは違いますね。
離島の小さなお店でしばしば見かける、家庭用冷蔵庫での冷蔵品の販売。このタイプ、好きです。
お店の方にお話を聴いてみると、(島の平均年齢よりはずいぶん若い方でした)黄島に移住してきた方とのこと。もう、移住してからは長く住んでいるようですが、のんびりしていてとても楽しそうな暮らしぶりがうかがえました。
15時30分に出発する帰りの船がやってきました。約7時間の滞在でしたが、島中をくまなく歩き尽くすのには十分な時間でした。小さな島ですが、黒猫を見たり、おばあちゃんにお手洗いを借りたり、とても濃い時間を過ごしたと思います。
お手洗いをお借りしたおばあちゃんにどうしてもお礼がしたくて、旅から帰宅後、赤江商店さん宛にお手紙とお菓子をお送りしました。赤江商店の店主さんからは「おばあちゃんに渡しましたよ」、と丁寧に連絡を頂きました。ありがとうございました。
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