離島の商店、離島のスーパー

旅先の商店やスーパーがとても好きです。
海外旅に出た時も、行く先々でスーパーや商店に何軒も立ち寄り、
日用品や食料品をおみやげとして買うことが多いです。
見たこともない食べ物や、よく分からない物など、普段目にしない商品を見つけるとテンションが上がってしまい、無駄に買い込んでしまいます。

離島の商店やスーパーも大好きで、
旅に出るたび、まんべんなくパトロールしてしまいます。

海外のお店のように見たこともない食べ物が並んでいるということはないのですが、
離島のスーパーや商店には独特の販売形態や個性があって、とても魅力を感じます。

島の近海で取れた魚や、島で採れた果物が「●●島産」と書かれて売っていたり、
島にお店が他にない場合(または2~3軒の場合)では、どんなに小さな店舗でも食品や生活雑貨の他に長靴やサンダル、衣料品までが置いてあったり。
また、棚1つ分くらいのスペースにお土産が置いてあることも多いです。
船が週に1便など、アクセス困難な離島では、生鮮品が入ってくるは船の入港日のみなので、入港日にお店の棚が一杯になり、そこから徐々に減っていきます。入港日のお店はとても混んでいます。

一畳くらいのスペースに、食料品や生活雑貨が敷き詰められたお店もあれば、
家庭用の冷蔵庫にアイスや飲料を入れて売っているお店、
島にお店が一軒もないので、区長さんの家の玄関先でカップ麺やお菓子、電池などを売っている場合も。

お店のたたずまいや、取り揃えている商品、島ならではの商品、入荷されてくるもの、
時にはそこで垣間見られる人間関係など。
離島の商店、離島のスーパーはとても魅力的で大好きです。

写真とともに、過去に訪れた離島のお店をいくつかご紹介します。

人口や規模、都市からのアクセスにもよりますが、
島には専門店がないことのほうが多いので、衣料品や文房具、書籍、化粧品など、本当にいろいろなものを商店やスーパーで購入するのですが、もちろん珍しいものは手に入らないことの方が多いです。また、輸送コストがかかるので、物価は高くなりがち。
以前に訪れた沖縄の絶海の孤島・南大東島では、島に嫁いだ女性が「ボックスティッシュが1セット500円以上するから那覇と比べると大東の物価は高い」と言っていたので「島の暮らしは大変ですね」と伝えたら、「若い人はみんなAmazonで買い物しているよ。Amazonの方が安いから」と、教えてくれました。
東京都にあるアクセス最難関といわれる青ヶ島でも、島の女性が「Amazonで買えないものはない。最強。」と言っていて、また、島にはパン屋もケーキ屋さんもレストランもないので、材料などをネットで購入して、自分でパンも焼く、ケーキも作る、タイ料理もなんでも自分で作る、と聞いてとても感心しました。
食パンとロールケーキは手作りのものを頂いたのですが、お店で買ってきたと言われれば信じてしまいそうなくらいにクオリティ高い!と驚きました。

ネットを使わない世代の人はどうかというと、鹿児島県にある日本最秘境の地、トカラ列島にある宝島を訪れましたが、船は週に2便ほど、鹿児島港からは11~12時間、昭和の終わりまでは電気が24時間通っていなかった場所。「8時間電気が来ると、冷凍庫が冷蔵庫として使える」ような時代を生きた民宿のお母さんは、「船が2週間来ないくらいでは全く問題がないね」と笑いながら言っていたので、生き抜く力がまた別の意味でたくましいのでしょう。

なお、トカラ列島には有人島7島があり、商店がない島ももちろんあって、週に2便のみのフェリーが港に来ると、船内にあるセブンティーンアイスの自動販売機をめがけて島の子どもたちがアイスを買いに来るというのを聞きました。

これまでに、人口が10人を切るような島もいくつか訪れたことがありますが、さすがにその規模になるとお店も自動販売機もなく、船で近くの島に買い物に行くことが多いようです。
定期船がなくても、船舶免許と船を持っていれば十分なのかもしれません。
(余談ですが、人口が2人という島では、選挙の際に船で自治体職員が投票箱を取りに来ると言っていて、日本はすごいな、と思いました。)

ちなみに、離島には書店よりも図書館があることの方が多く、
銀行よりも郵便局の方があることの方が多いので、郵貯を使っている方の方が圧倒的に多いです。

離島の旅を始めた頃は、離島には映画館がないので、島の人は映画を観られなくて大変だなあ、とよく思っていたのですが、気が付いたらそれもNetflixなど、配信サービスが解決しているのかもしれません。

南大東島の商店

沖縄にある絶海の孤島・南大東島を訪れたとき、わたしは飛行機利用でしたが、ホテルの方から、「今日は船の入港日だからお店の棚がいっぱいだよ、見ておいで」と教えて頂き見に行った近くの商店。

どこか離島、沖縄感を感じるお弁当
南大東島の商店の店内

南大東島は、沖縄本島から太平洋側に360km、周囲に南北大東以外の有人島のない絶海の孤島ではありますが、島の人口は1400人程度なのでお店の数はそこそこありました。

Aコープ 南大東店
Aコープ南大東島の店内

南大東産の野菜もいくつか。船が入った日なので置くの生鮮のたなもぎっしりです。

南大東島の与儀商店
与儀商店の店内

食品以外に、日用品までが大体揃います。
大東の物価は高いと聞きましたが、ペプシコーラ70円は結構安いな。笑

北大東島 二六荘 にある商店

北大東島は、人口は南大東島の半分の700人。
宿泊施設は2つ、商店の数も少ないです。
宿泊した宿は二六荘といって、1940年に移築されたとても歴史のある有形文化財にも登録されている建物。
隣の売店にもとても風情がありました。

二六荘の売店の店内

一部雑誌などが買えました。
北大東島には観光客はほとんど訪れないのですが(そもそも宿泊施設にも限りがあり…)、港の建設などで業者さんたちが多数滞在していました。昼食を食べられる場所がほとんどないので、二六荘でお弁当を頼んだり、
夜は売店でお酒を買って、釣ってきた魚を刺身にして、店先で宴会をしていました。

有人島 日本最南端 波照間島の冨嘉売店

有人離島日本最南端の沖縄県 八重山諸島波照間島の冨嘉売店。
人口は約500人なので、島内に数軒のお店がありますが、こちらの売店では、稀少なことで知られる幻の酒、「泡波」が、運が良ければ購入できます。(訪問時の話なので、現在はどうだろう?)
「泡波」は波照間島の民宿では飲み放題で振る舞われ、運が良ければ商店で安価で購入できますが、沖縄本島で購入しようとすると何倍かの値段になり、東京含む本州では取り扱いがないか、あっても数倍の価格になるような珍しいお酒です。

東京都のアクセス最難関島 青ヶ島の十一屋

人口約170人の青ヶ島唯一の商店。十一屋。
写真にも写っていますが店先に猫が数匹居ました。
隣に整備工場があり、島民の車の車検も十一屋が全て行っているそうです。

青ヶ島 十一屋の店内

生鮮品から日用品まで何でも揃います。離島で猫や犬を飼っている人もいるので、餌やトイレ砂もだいたい売っています。
青ヶ島にも、青酎という島で作る珍しいお酒がありますが、十一屋でも購入することができますし、
製造を見学することもできます。杜氏が数人いて、それぞれ別の製造方法で作っているので、誰が作っているかによって、味も違う青酎になります。

青ヶ島 十一屋の店内

ポストカードや簡単なお土産も買えます。
棚の奥にある缶のポカリスエット懐かしいな。離島の商店に行くと、何故か必ず懐かしい商品があります。
ロッテのカスタードケーキとか。

トカラ列島 宝島の商店

鹿児島県トカラ列島は日本最秘境といわれるほどのアクセスの困難さ。
そのトカラ列島で一番南に位置する宝島は鹿児島港から約11~12時間の航路。
トカラ列島には7つの有人離島、5つの無人島があり、全部で12の島で十島村という1つの村です。
全長100kmを超える南北に長い村なので、村役場は村内にはなく、本土の鹿児島市内に設置されています。(村役場が自治体内にないのは3例のみで、全て離島です。)
宝島は人口約100名程度で商店はこちらのみ。

トカラ列島 宝島の商店

離島ではよく人口減少を耳にします。若い人が島を出て戻ってこないので島が高齢化するという話もよく聞く話です。宝島は人口100名程の小さな島ですが、数年前に若い家族が移住し、各家族に数名のお子さんがいたため、人口増加“率”が全国トップクラスで、未就学児童がこれまでにない勢いで増えるという離島ではとても珍しい現象がありました。また、滞在していた民宿では山海留学生(離島留学)の子どもたちにも会いました。
こちらの商店にはそんな移住家族が島の素材を生かして作った加工品(島バナナのコンフィチュール、長命草のパスタソースやドレッシング)などの扱いがあり、お土産に複数購入しました。

渡名喜島の商店

こちらは、沖縄県 渡名喜島の商店。伝統の赤瓦とフクギ並木がそのまま、人が住んだ状態で残っていて、重伝建にも指定されている渡名喜島。とても味のあるお店でしたが、この日はお休みでした。

加計呂麻島の商店

鹿児島県 奄美群島 加計呂麻島の商店。
人口は約1200名ですが、約30の小さな集落が島内に点在していて、小さな商店もたくさんあります。

加計呂麻島の商店
加計呂麻島の商店

2畳くらいのスペースにこの陳列。食料~調味料から棚にかかったビーサン、やご祝儀袋の陳列まで、お見事だなと感心した店舗構えでした。

加計呂麻島のフェリー待合所の売店

フェリー待合所の売店です。この感じもまた素敵。
ご飯を食べていなかったら、ぜひカップ麺を頂きたかったところです。

加計呂麻島のフェリー待合所の売店

お茶や珈琲は1杯100円です。笑。
お湯を沸かしてくれている人がいるのだから当たり前です。

ちなみに、この待合所で船を待つ間にスコールのような大豪雨に遭い、
ちょうど船が到着したときがピークの降りで、
待合所から船までは少し距離があったのですが、仕事で加計呂麻島を訪れていたという業者のおじさんがわたしのキャリーケースを船まで抱えて走ってくれた、ということもありました。
旅先では本当に優しい方に会うことが多い。ありがとうございました。

請島の商店(?)

鹿児島県 奄美群島 の秘境 請島の商店。
奄美群島にある請島・与路島は日帰りもできず、また奄美大島から加計呂麻島を挟んだ南にあり、訪れるハードルが高く、奄美に住んでいる方もほとんど訪れることがないという秘島です。
壁に貼ってある「えさ」の文字も気になりますが、一見商店とは気づかないこの店構え。
とても心を惹かれてしまいます。
人口は約100名程度で集落は2つ。このお店ともう1店商店があり、もう1つの方がお店らしさがありました。

奄美群島 請島の商店

家庭用冷蔵庫にアイスクリームを入れて販売中。そして、棚に並ぶカップ麺らしき商品。
離島のお店の真骨頂!

奄美群島 与路島 お店ではない

同じく奄美群島にある秘境、与路島。
前述の請島の隣にあり「うけよろ」とセットで呼ばれることが多いです。請島と同じく与路島も日帰りができず、アクセスが悪いため訪れる人はほとんどいないそうです。
宿泊した民宿の方に、飲み物を買いたいのですがお店はありますか?と訪ねたところ、お店はないけど、区長さんの家でいろいろ売ってるよと教えて頂いたのがこちら。
なお、与路島の方同士の会話は、奄美弁(?)がすごすぎて何一つ聞き取れませんでした。

与路島の区長さんの家
与路島の区長さんの家

家庭用冷蔵庫に、味噌、ケチャップ、マヨネーズ、飲み物、肉や魚、野菜が入って売っています。
すごい。

小笠原諸島 母島の前田商店

東京都小笠原諸島 母島の前田商店。船が週に1便のみなので、入港日に陳列作業があり、到着時は閉店していました。母島の人口は約450人。
東京、竹芝桟橋から父島までフェリーで24時間、そこから更にははじま丸に接続して2時間。
父島に比べて、とても静かな島です。

母島の前田商店

船が入港した日は島の方が買い物に来るので、旅人は入店を控えましょう。
こういう島のルールはとても大切ですね。
母島を訪れたのは2021年11月だったので、これがコロナ禍の密回避のためのものか、元々あったものかは分かりません。

母島の前田商店

クリスマスケーキも、予約しておけば船で届くそうです。ヤマザキ、すごい。
27時間かけて届くのですね。
前田商店にも母島のお土産などの扱いがあり、前田商店が作っているジャムやお酒などオリジナル商品がありました。

小笠原母島漁業協同組合

小笠原母島漁業協同組合、商店になっていて入港2日目の夜も島の方で賑わっていました。

小笠原母島漁業協同組合

ケンタッキーが買えるんですね…!すごい。
こちらも注文すれば27時間かけて届きます。
以前に、小笠原へ行くとき、ケンタッキーを買っていくととても喜ばれる、と聞いたことがあります。

また、車を購入した場合の輸送費も、ちちじま丸→ははじま丸で輸送すると大変高く、
共勝丸という貨物船を利用すると少しだけ安く運べると島の方に伺いました。
(共勝丸だと東京⇔小笠原間46時間)

小笠原諸島 父島のスーパー小祝

父島の人口は約2000人。お店やスーパーも数軒あり、メインの集落は賑わっています。
竹芝桟橋からフェリーで24時間。

父島 スーパー小祝の店内

船の入港日はたなも生鮮品でいっぱいに。夜は島の方で大変賑わっていました。レジも大行列。

父島 スーパー小祝の店内

小笠原近海の尾長鯛。宿泊先でも頂きました。

父島 スーパー小祝の店内

小笠原近海 メカジキ。宿泊先でも頂きました。
島の魚が買えるのは嬉しいですね。

父島 スーパー小祝の店内

ちちじま丸で運ばれてきたパンたち。

JA小笠原 農産物観光直売所

父島のJA。お土産もいろいろ売っていました。

JA小笠原 農産物観光直売所

父島や母島でとれた島バナナやドラゴンフルーツ、スターフルーツ、パッションフルーツなど、いろいろなものが売っていました。スターフルーツやパッションフルーツをお土産に買って帰りました。

伊豆大島 ショッピングセンターべにや

伊豆大島は、東京からも近く、人口も6000人と多いためスーパーやお店は多いですが(ケーキ屋、書店、衣料品など専門店もほぼ揃っています)、べにやファンはとても多い。わたしも伊豆大島に行くたびにべにやを訪れてしまいます。

伊豆大島 べにやの店内

伊豆大島近海でとれた魚を売っています。飛び魚。

伊豆大島 べにやの店内

新島産たかべ。たかべは伊豆大島の居酒屋にていただきました。

伊豆大島 べにやの店内

伊豆大島産まぐろ。

伊豆大島べにやの店内
伊豆大島 べにやの店内

ちなみに伊豆大島では、港近くにお土産屋さんがたくさんあるので、お土産を買うのはそちらの方がおすすめです。さすが伊豆大島、離島の中ではお土産の種類が豊富です。

新潟県 粟島 おみやげの店 粟島売店組合

商店ではありませんが、こちらも大好きなお店。
新潟県北部の離島、粟島にある粟島売店組合。
島の方とお店の方が話している粟島弁が聞き取れなかった思い出。
「海へ行ってきました!」系のクッキーやお煎餅を販売しています。
製造元は新潟市内が多いので輸入スタイル。

粟島売店組合にあった「ほしいかたどうぞ」

粟島は大好きな島で、コロナ前までは夏に毎年訪れていましたが、これは2016年の訪問時だったか、テレホンカードをくれていました。すごい太っ腹。いくらでもくれそうな勢いでしたが一応遠慮して(?)、1枚柄ずつにしました。

沖縄県 与那国島の空港の売店

スーパーではなく空港の売店。沖縄県与那国島。日本最西端の島。
空港に飛行機発着するときだけ30分未満開店するお店。

沖縄県 与那国島の空港の売店

レンタカー屋を探したり、トイレに寄ったりしていると見事にしまっていくこの感じ。
離島らしくていいなと思いました。

ご紹介したのは訪れた離島のお店のうちの一部ですが、
離島の商店やスーパーは島の暮らしを感じたり、個性や人間関係を感じられる場所で、とても好きです。
お店があるたびにいちいち入っては変なものを買ってしまう。
観光スポットとは違いますが、離島の旅の醍醐味の1つだと思っています。

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