五島列島、日島(ひのしま)。
上五島(中通島)から橋で繋がる若松島から更に漁生浦島、有福島と橋を渡り、橋で繋がる一番端に位置するのが日島。
面積1.39㎢、周囲7.1㎞の小さな島で、人口は約26人。
この島で松園水産が毎月、第1、第3土曜の朝9時~11時に朝市「獲ったどー朝市in日島」を開催していて、
なんと500円で獲れたての魚の刺身が乗せ放題になる海鮮丼が食べられると知り、
(ちなみに、こちらの朝市の情報源は後藤さんによる五島の本「離島を楽しむ 五島列島」)
2022年11月の五島列島の旅で行って参りました。
長崎港から朝一番の高速船で、上五島(中通島)の有川港へ。
五島列島へは様々なアクセス方法があり、空港があるのは福江島だけですが(福岡・長崎便あり)、
船の場合は、博多港から夜行フェリーの太古で行く方法や、長崎港や佐世保港から九州商船で行く方法など。
どのラインを選ぶかで、発着の港や時間が変わるのでいろいろ組み合わせてみるのも、旅好きにとっては面白いです。
有川港には午前9時半を少し回った頃に到着。
レンタカーなどを手配していたら出発は10時過ぎに。有川から中通島を縦断し、若松島、漁生浦島、有福島、日島と経由していくと、11時に着くのは絶望的に難しそう。
せっかく第3土曜日というタイミングで来られたので、なんとしても朝市に行ってみたくて、念のため電話をしてみることに。
「有川港にいて、今から向かいたいのですが…到着が11時半になってしまいそうなのです…」と伝えると「11時半まで待ってるからおいで」と。この嬉しい返答に、安全第一・超特急で向かってみることに。
のどかな港町。
透明度が高く、青がきれいな海でした。あまりここまで観光客が来ることはないそうで、なんとも贅沢な風景。
海沿いの道をしばらく進んでいくと、旗が目に入ってきます。
駐車場に停めてあった軽トラックに「道の駅」の幟が(笑)。新しいスタイルの道の駅。
波佐見焼がどれでも100円。キャベツもどれでも100円。笑
港の前にある、売店。乗せ放題丼はこの中で頂けます。
受付でご飯(酢飯)を購入。これが500円です。
お味噌汁もセットでくれました。
こちらが、500円で乗せ放題の会場。厨房のようなスペース。でもそれも雰囲気というか、味があって良かったです。
開催時間は過ぎていましたがまだ片付けずにいてくださいました。
今朝、獲れた魚のお刺身。まだたくさん残っていました。
背後では魚を捌いておりました。どれも美味しそう!
こちらが、わたしが作った海鮮丼!勢いよく乗せすぎて、見栄えはきれいにできていない気がするけど…具は盛りだくさんです。そしてとても美味しかった。
刺身を二重にのせてもいいという気前の良さが最高です。ご飯じゃなくて酢飯というのもポイント高い。
ちなみに、厨房の隅でひとり、もぐもぐと自作の海鮮丼を食べていると、
「お味噌汁のおかわりがあるよ」
「たくさんたべてね」
「時間気にしないでゆっくりでいいからね」
「(漁師の賄いを準備していて)ガチャガチャうるさくてごめんね、ゆっくりしてね」
と、漁師さんも、お母さんたちもみんなが寄ってきて話しかけてくれて、
その雰囲気がとても温かくて、
まるで、山で数日間遭難して、たどり着いた民家でやっとこさありつけたご飯を食べさせてもらっているような気分になり、涙腺を刺激されました。
アクセスもあまりよくない僻地にあるので、観光客が来るような場所ではないらしく、
よく来たね、と、遅れてやってきたのにだいぶ歓迎していただいて。
(どうして知ったのか聞かれたので、後藤さんの「五島列島」を読みました、と答えました)
松園水産には現在7名の漁師さんがいるらしいですが、みなさん本当に親切で。
「明日朝早く来れば船に乗せてあげるよ」なんて言って頂いて。
ぜひともお邪魔したいところでしたが、旅のスケジュールもあり断念。
また、途中で、お手伝いをしているのか若い女性がやってきて、話を聴いてみれば、上五島(中通島)に移住してカフェをやっていて、一度この朝市にやって来たところ、漁師さんやスタッフさんと親しくなり、そこから毎回お手伝いも兼ね遊びに来るようになったそう。すごい縁だけど、それも納得のアットホーム感。
そして、厨房の奥ではずっと何かを調理していて、漁師さんの賄いとのこと。
若松島の飲食店の調理人がやって来て、漁師さんの賄いを作っているのだとか。
この日は炒飯を炒めていました。
漁師さんの賄い。炒飯と本日獲れた魚のお寿司。漁師さんの日常が垣間見れた感じがしてこれも楽しかったです。
島出身の漁師さんから、まだ、日島に橋が架かっていなかった頃は船で学校へ通学していたなど、(1978年の護岸工事で隣の島と繋がり、1979年の漁生浦橋開通、1991年の若松大橋開通で、中通島まで繋がった)漁師さんから島の話を教えてもらっていると、出来上がった賄いの炒飯も良かったらどうぞ、と分けていただいて。
通りすがりの旅人にこんなに親切にしてくれることがとても嬉しかったですが、さすがにお腹もいっぱいでどうしようと思っていたところ、お土産用にパックにしてくれました。
ラップと蓋を付けて頂いた炒飯。わたしが炒飯を大事に抱えていると、賄いを作っていた料理人が「何で島に来て(魚じゃなくて)炒飯持ってんの!」と大笑い。談笑の時間もとても楽しかったです。
松園水産の売店。ここで魚も直接購入することができて、全国への発送もしているそうです。
これは、なんていう魚だったかな、名前は忘れてしまったのですが、突然変異か何かなのか、白い魚が釣れた時のもの。「俺が釣った」と漁師さんに見せていただきました。
外で港を見ていると、ある漁師さんから「お前は警察関係者か?」と話しかけられ、いったい何のことを言っているのか分からず、「あ、違います」と普通に返したら、その漁師さんは「昔、暴走族だったから全国指名手配されてるんだよ」と。
あながち離島なので、そういうこともなくもない気がして、(実際に、五島ではないですが、別のエリアの島にその筋の方を見たことは本当にありました)それが冗談と気づくまで結構時間がかかってしまい、ここで会ったことは一生誰にも言わないでおこう、とか無駄に決意をしたりしてました。笑
日島の松園水産、なかなか観光客がここまで来ることは珍しいらしく、実際、中通島からは1時間半くらいかかるのと、朝市は第一、第三土曜しかやっていないとハードルは高いのですが、
500円で乗せ放題の海鮮丼は最高だし、何より漁師さんやお母さんたちが本当に素敵なので、機会があればぜひ訪れてみていただきたいです。
そして、海のこの透明度!!
日島の海は本当に美しかったです。